急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Treatment of Acute Heart Failure( JCS 2011)
 
 動脈血酸素飽和度は95%以上を常に確保する.そのためにまず酸素投与を行う(クラスⅠ)(表18).鼻カニューレ(0.5~ 3L/分),酸素マスク(3~
6L/分),リザーバー付き酸素マスク(5L/分以上,FiO2 1.0)が目安である.酸素投与で無効の場合はNPPVを積極的に活用する.CPAP,Bilevel
PAPなどが利用できる施設では気管内挿管を回避するためにこれを用いる(Ⅲ.5.2.参照).ASVは心拍出量改善効果やコンプライアンスに優れ
いるとの報告がある42).心原性ショック(表19),NPPV抵抗性,意識障害,喀痰排出困難な場合やNPPVが安定して維持できない患者では気管内
挿管による人工呼吸管理を行う(クラスⅠ)(表18).
7 動脈血酸素飽和度
クラスⅠ
 ・ 酸素投与(SaO2>95%,PaO2>80mmHgを維持):レ
ベルC
 ・ NPPV抵抗性,意識障害,喀痰排出困難な場合の気管内
挿管における人工呼吸管理:レベルC
 ・循環血液量喪失に対する容量負荷:レベルC
 ・カテコラミン投与:レベルC
 ・強心薬併用(カテコラミンとPDE阻害薬):レベルC
 ・ 薬物治療抵抗例に対する補助循環(IABP,PCPS):レベ
ルC
 ・心肺停止時のエピネフリン静注:レベルB
 ・ 心肺停止時のエピネフリン気管内投与(静注量の2~
2.5倍を使用):レベルC
クラスⅡa
 ・NPPV:レベルA
 ・ 薬物治療の限界を超えた難治性心不全で回復の可能性あ
るいは心臓移植適応のある患者に対する補助人工心臓:
レベルB
クラスⅢ
 ・心肺停止時の心腔内注射:レベルC
表19 心原性ショックに対する治療
クラスⅠ
 ・ 酸素投与(SaO2>95%,PaO2>80mmHgを維持):レ
ベルC
 ・酸素投与で無効の場合のNPPV:レベルA
 ・ NPPV抵抗性,意識障害,喀痰排出困難な場合の気管内
挿管による人工呼吸管理:レベルC
 ・ NPPVが実施できない場合の気管内挿管による人工呼吸
管理:レベルC
表18 急性心不全における呼吸管理
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