急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Treatment of Acute Heart Failure( JCS 2011)
 
 ARも疾患の進行度により,急性と慢性に分類される.急性ARは大動脈解離,感染性心内膜炎などが原因で生じる.この治療の詳細は
Ⅲ.5.6.を参照されたい.

 慢性ARの急性増悪時は,末梢血管抵抗減少,心拍出量増加,逆流容量減少の目的で血管拡張薬を中心に,利尿薬,強心薬を用いて急性期治
療を行い,血行動態が安定した患者,あるいは逆に血行動態の改善が認められない患者ではARに対する外科的治療を考慮する.急性心不全を発
症した場合は内科的治療のみでは年間死亡率が20%を超える.一般に手術適応となる223).ただし,左室機能障害が高度(左室駆出率25%以下)
の患者においては,大半の患者では左室心筋は不可逆性変化を来たしており,手術成績および術後の症状改善,生命予後も比較的不良である
224).特に,高齢者の場合はAVR後の心機能障害や心不全症状が残存しやすく,これらを考慮してAVRの適応を検討する.
4 大動脈弁逆流症(AR)
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