急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Treatment of Acute Heart Failure( JCS 2011)
 
 拡張性心不全では左室充満の心房収縮への依存度が高い.したがって心房細動を合併すると,心房収縮の消失と頻脈に伴う拡張時間の短縮に
よって左室充満が著しく障害され,血行動態が悪化する.このような場合には心拍数のコントロールが特に重要である.一般的には,心房細動を有す
る心不全患者において洞調律維持を目指すリズムコントロールと脈拍数のコントロールのみを目指すレートコントロールでは長期予後に差がないとさ
れているが271),一部の患者では急性期の血行動態維持のためにリズムコントロールが必要となる場合がある.患者の病態に合わせた方針を決定
する必要がある.詳細についてはⅢ.4.7.およびⅤ.5.を参照されたい.
5 心房細動の心拍数コントロール
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