急性心不全においてはSwan-Ganzカテーテルガイドによる治療をすべての患者に行うべきではない.患者ごとに適応を決める(表12)23).急性心筋
梗塞ではSwan-Ganzカテーテルガイド下にForresterの分類(図1a)を用いて予後予測や治療方針を決定する.心係数が2.2L/分/m2 以下では組織灌
流が不十分であり,肺動脈楔入圧が18mmHg以上では肺うっ血に陥る.ただし,これらの閾値は,健常人に突然心ポンプ機能が低下した場合にはじ
めて成り立つ閾値である.慢性心不全患者では肺動脈楔入圧が20mmHg以上でも心機能が代償されおり,心係数が2.2L/分/m2以下でも尿量は保た
れることが多い.したがって,Forrester分類の概念は急性心不全に広く応用されてはいるが,これらの閾値は慢性心不全の急性増悪患者に役立つと
は限らない. 一方,Nohria-Stevensonはうっ血と低灌流という臨床所見のみから4つのプロファイルに分類したもので,急性心不全患者の重症度評価
に優れている(図1b)24).