急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Treatment of Acute Heart Failure( JCS 2011)
 
 1. 一般的事項
心不全の病態の説明
身体的変化(症状・徴候)
精神的変化
予後
 2. 症状のモニタリングと管理
心不全増悪時の症状
体重の自己測定(毎日)
症状増悪時の対処方法
精神症状の対処方法
 3. 食事療法
塩分・水分制限
アルコール制限
遵守するための方法
 4. 薬物療法
薬の性質,量,副作用
併用薬剤
複雑な薬物治療への対処
費用
遵守するための方法
 5. 活動・運動
仕事および余暇
運動療法
性生活
遵守するための方法
 6. 危険因子の是正
禁煙
肥満患者に対する体重コントロール
脂質異常症,糖尿病,高血圧の管理
 心不全の増悪予防は,予後やQOLの改善,それに医療コストの軽減の観点から極めて重要である166).心不全の増悪因子は塩分・水分制限の不徹
底,薬物治療に対するアドヒアランスの低下,活動制限の不徹底が多くを占め,これらは予防可能な要因である167).再入院予防には包括的な患者教
育が極めて重要である.退院前の看師による十分な患者教育は心不全患者の予後を改善する168).入院早期から退院前まで早期退院と再発予防を
目指して患者教育を継続的に行う169),170)表31).急性期治療において症状発現から治療開始までの時間を短縮すると,入院期間が短縮され,死
亡率の低下,QOLの向上,医療コストの低減に繋がる158),171).したがって,患者および家族に対し心不全症状,対処法,緊急時対応を説明し,発症
した場合に速やかに対処できるように教育する.また,退院後の自己管理能力を維持,向上させるための教育を行う.患者支援には,医師,看護師,
薬剤師,理学療法士,栄養士,臨床心理士などで構成される多職種チームによる疾病管理プログラムが有効である47).特に,高齢心不全患者に対し
ては,セルフケア行動を評価した上で172),個人の生活環境に適した自己管理方法を入院早期から立案し,退院までに継続的に患者・家族へ教育す
る.
3 急性期における患者教育
表31  心不全患者および家族・介護者に対する教育・カウンセリングの内容188)
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