急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Treatment of Acute Heart Failure( JCS 2011)
 
クラスⅠ
  血行動態の悪化や一過性の脳虚血症状を生じる徐脈があ
り,アトロピンに無反応な場合,速やかに緊急一時ペーシ
ングを行う(レベルC)
クラスⅡb
  急性心不全の超急性期における心臓再同期療法の適応は確
立していない(レベルC)
①心臓再同期療法

 急性心不全患者の急性期におけるCRTの効果を検討した報告は未だみられない.エビデンスとしてCRTは慢性心不全患者を対象としており,急性
心不全患者の植込み経験は少なく,植込み時期も不明である137).急性心不全では,まず薬物治療を行い,慢性期に至ってから適応患者を決定す
る.慢性心不全での適応基準はガイドライン(2010年改訂版)に準拠する.

②緊急一時ペーシング

 血行動態の悪化や一過性の脳虚血症状を生じる徐脈があり,アトロピンに無反応な患者では原因疾患が何であれ緊急一時ペーシングを行う.特
に,急性心筋梗塞や劇症型心筋炎においては,心静止,完全房室ブロック,洞性徐脈が認められやすい.個々の患者に応じた適応は,「不整脈の
非薬物治療ガイドライン(2006年改訂)」,「急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン」,「急性および慢性心筋炎の治療,診断に関する
ガイドライン(2009年改訂版)」に準拠する.
4 ペーシング(心臓再同期療法および他のペーシング)による管理(表29)
表29  ペーシング(心臓再同期療法および他のペーシング)による管理
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