①心臓再同期療法
急性心不全患者の急性期におけるCRTの効果を検討した報告は未だみられない.エビデンスとしてCRTは慢性心不全患者を対象としており,急性
心不全患者の植込み経験は少なく,植込み時期も不明である137).急性心不全では,まず薬物治療を行い,慢性期に至ってから適応患者を決定す
る.慢性心不全での適応基準はガイドライン(2010年改訂版)に準拠する.
②緊急一時ペーシング
血行動態の悪化や一過性の脳虚血症状を生じる徐脈があり,アトロピンに無反応な患者では原因疾患が何であれ緊急一時ペーシングを行う.特
に,急性心筋梗塞や劇症型心筋炎においては,心静止,完全房室ブロック,洞性徐脈が認められやすい.個々の患者に応じた適応は,「不整脈の
非薬物治療ガイドライン(2006年改訂)」,「急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン」,「急性および慢性心筋炎の治療,診断に関する
ガイドライン(2009年改訂版)」に準拠する.