急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Treatment of Acute Heart Failure( JCS 2011)
 
 急性心不全の治療は大きく3段階に分けられる.それぞれの時期に,明確な到達目標を設定する.(1)急性期では,いかに素早く,重症度を含めて診断し,適切な治療を開始できるかがカギである.まず,症状の改善を図り,呼吸を安定化させる.さらに,良好な臓器灌流を得て血行動態を安定化させる.この際,心筋障害や腎障害を最小限にすることを念頭に治療する.これが最終的にICUやCCU入院の期間を短縮させる.(2)患者の病態が安定したら,生命予後および心筋保護を考慮した適切な薬物療法を開始する.また,可能な限り早期の離床を進める.そのためには積極的な心臓リハビリを行う.非薬物療法が効果的な患者もいる.(3)退院前に生活指導・服薬指導・食事指導などの包括的な患者・家族教育を行い,心不全増悪による繰返し入院を予防する.最終的には,生命予後の改善だけでなく,生活の質を向上させる治療を永続的に行う.
1 到達目標
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