急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Treatment of Acute Heart Failure( JCS 2011)
 
 高血圧緊急症は単に血圧が異常に高いだけの状態ではない.血圧の高度の上昇(多くは180/120mmHg以上)によって脳,心,腎,大血管などの中心臓器(標的器官)に障害が急速に進行してくる病態である.速やかに診断し,ただちに降圧治療を始める.緊急症には,高血圧性脳症,急性大動脈解離を合併した高血圧,肺水腫を伴う高血圧性急性心不全,高度の高血圧を伴う急性心筋梗塞や急性冠症候群,褐色細胞腫クリーゼ,子癇などが該当する.また高度の高血圧であるが,臓器障害の急速な進行がない患者は切迫症として扱う.なお,緊急症であるか否かは血圧のレベルだけで診断すべきでない.血圧が異常高値であっても,急性あるいは進行性の臓器障害がなければ緊急降圧の対象ではなく,子癇や急性糸球体腎炎による高血圧性脳症や大動脈解離などでは血圧が異常高値でなくても緊急降圧の対象となる.
1 定義
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