急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Treatment of Acute Heart Failure( JCS 2011)
 
 急性期における拡張性心不全は,(1)心不全である,あるいは心不全が強く疑われる,(2)左室駆出率が保持され,左室拡大を認めない,(3)弁
膜症,収縮性心膜炎などが除外される,という3点を満たすことにより診断される.

 血漿BNP(NT-Pro BNP)値は,収縮性心不全のみならず拡張性心不全においても上昇し270),この値で収縮性心不全と拡張性心不全を鑑別する
ことは不可能であり,心エコー検査にて左室駆出率の評価,弁膜疾患の有無などの診断を行う.拡張機能障害,左房圧上昇を検出できれば診断は
可能であるが,いまだ非侵襲的アプローチには限界がある265).左室駆出率が保持され左室拡大を伴っている場合は,貧血,ビタミンB1 欠乏,末梢
における動静脈シャントなどによる高心拍出性心不全を疑い,鑑別診断を行う.
2 急性期における拡張性心不全の診断
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