急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Treatment of Acute Heart Failure( JCS 2011)
 
肺水腫の治療(表17を参照)
クラスⅠ
・利尿薬,硝酸薬,カルペリチドによるうっ血の軽減:レ
ベルC
・Ca拮抗薬(ニカルジピン,ジルチアゼム)の点滴静注に
よる著明な高血圧のコントロール:レベルC
クラスⅡa
・心房細動を伴う患者のジギタリス,Ca拮抗薬,β遮断薬
による心拍数のコントロール:レベルC
クラスⅡb
・拡張性心不全に対する強心薬の投与:レベルC
 急性心不全期は殆どの患者で急性肺水腫の臨床像を示す.急性肺水腫の治療の詳細については表17を参照されたい.なお,左室駆出率が保持されているので強心薬が必要なことはまれである.肺水腫に加え左室内腔の狭小化による低心拍出状態も認めることがあり(アミロイドーシス,肥大型心筋症など),このような患者では強心薬が必要となる場合がある.
3 急性心不全期の治療(表41)
表41 拡張性心不全の治療
クラスⅠ
 ・ 酸素投与(SaO2>95%,PaO2>80mmHgを維持):レ
ベルC
 ・酸素投与で無効の場合NPPV:レベルA
 ・硝酸薬(舌下,スプレー,静注)投与:レベルB
 ・フロセミド静注:レベルB
 ・ 血圧低下患者に対するカテコラミン静脈内投与:レベルC
 ・ 高血圧緊急症,大動脈弁閉鎖不全,僧帽弁逆流による急
性心不全に対するニトロプルシド静脈内投与:レベルC
 ・ 著明な高血圧を伴う急性肺水腫におけるCa拮抗薬(ニ
カルジピンなど):レベルC
 ・ 著明な高血圧を伴う急性肺水腫における硝酸薬:レベルC
 ・ 著明な高血圧を伴う急性肺水腫におけるループ利尿薬:
レベルC
 ・ 著明な高血圧を伴う急性肺水腫におけるカルペリチド:
レベルC
 ・ NPPV抵抗性,意識障害,喀痰排出困難な場合の気管内
挿管における人工呼吸管理:レベルC
クラスⅡa
 ・カルペリチド静脈内投与:レベルB
 ・PDE阻害薬静脈内投与(非虚血性の場合):レベルA
 ・慢性期移行におけるトラセミド投与:レベルC
 ・ アデニル酸シクラーゼ賦活薬(非虚血性の場合):レベ
ルC
クラスⅡb
 ・PDE阻害薬静脈内投与(虚血性の場合):レベルA
 ・ 腎機能障害合併例に対するカルペリチド,静脈内投与:
レベルB
 ・モルヒネ静注:レベルB
 ・アデニル酸シクラーゼ賦活薬(虚血性の場合):レベルC
クラスⅢ
 ・ 腎機能障害,高K血症合併例に対する抗アルドステロン
薬投与:レベルC
 ・高血圧緊急症におけるニフェジピンの舌下:レベルC
表17 急性心原性肺水腫の治療
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