原因菌としては緑膿菌,肺炎桿菌,アシネトバクタ,セラチア,変形菌,大腸菌などのグラム陰性桿菌が多く,グラム陽性球菌ではMRSAの頻度が
高い.高齢者,抜管後間もない患者,補助循環などのため強制的仰臥位を強いられている患者では嫌気性菌による嚥下性肺炎に十分に注意する.
口腔内に常在する嫌気性菌によることが多く,バクテロイデス,フソバクテリウム,ペプトストレプトコックスなどがある.細菌学的検査ではグラム染色
が重要であり,グラム陽性ブドウ球菌が検出されなければ,あえてMRSAに対応した広域抗菌薬を選択する必要はない.図15に従って,重症度を分
類し適当な抗菌薬を選択する.
治療薬の選択に関しては2008年日本呼吸器学会成人院内肺炎に関するガイドラインに準拠する243).抗菌薬の投与量は初期に十分量の投与が必
要である.また,アミノ配糖体系薬の投与に関しては我が国の投与量,投与方法では有効性が低い.TDMを利用した投与を推奨する.広域抗菌薬の
多用は耐性菌の誘導や選択の原因となる.臨床効果と耐性菌の抑止を目的に抗菌薬を選択する.ここでは代表的な抗菌薬を紹介した.実臨床で
は,使用可能な類似薬を選択されたい(表39).