急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Treatment of Acute Heart Failure( JCS 2011)
 
 治療抵抗性となり,やがて死が迫ってくる苦しみにあって,相手の支えを強めるとは,安易な励ましや,希望しない延命治療を行うことではない.一
般的に緩和ケアでは,悪い知らせを伝えるコミュニケーションが大切とされている.しかし,悪い知らせを伝えるだけでは,決して患者の支えを強める援
助とはならない.“苦しんでいる人は,自分の苦しみを分かってくれる人がいるとうれしい”という視点を大切に,相手の苦しみをていねいに聴く姿勢が
求められる.具体的には,反復,沈黙,問いかけという傾聴の技法を用いながら,苦しむ患者の良き理解者として関わる必要がある.たとえ,死が近
い状況に陥ったとしても,患者は,真の支えが与えられるとき,穏やかさを取り戻していく.支えられ方には個別性が高いが,どのような患者でも,この
視点を持つとき,援助の可能性が拓ける.
3 どのような私たちであれば,患者の支えを強めることができるのかを知る
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