急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Treatment of Acute Heart Failure( JCS 2011)
 
 心不全治療は最近の医療展開とともに急速に進歩してきた.今日,改善の見込みが望めない終末期の心不全患者に対する緩和ケアが求められは
じめた290).緩和ケアは,主にがん診療の終末期において提唱された概念である.従来は,治療抵抗性になった患者への苦痛の緩和と精神的な援助
とされてきた.しかし,現在では治療の早期から適切な症状緩和や心のケアを含むとされている.その本質は解決が困難な様々な苦しみを抱えた人
の生きることを支える援助と捉えるならば,単に苦痛の緩和や看取ることにとどまらず,心不全を抱え苦しむ人への援助の展開が拓けるであろう.心不
全患者に対する緩和ケアについてのエビデンスはほとんどない.したがって,ここでは提言として治療抵抗性の苦しみを抱えた人に対する援助アプ
ローチの指針を示すこととする.

 なお,ガイドライン「循環器疾患における末期医療に関する提言」の「循環器集中治療」に関する内容も参照されたい.
1 はじめに
次へ